title: 結婚と結婚式
author: Amane Katagiri
summary: URAHARA/PHCT二次創作本鋭意制作中
date: 2018-08-12T21:01:00+09:00
category: lily
license: CC BY 4.0
rating: sfw
ai_summary: マヤの提案で模擬挙式イベントに行くことになったサアラたち5人。結婚式やドレスへの憧れを語り合う中で、語り手のリセはサアラに対して抱く複雑な感情を自覚します。サアラが漏らした「結婚するとリセと離れてしまうのが嫌」という本音に胸を締め付けられつつも、二人はイベントへの参加を決めます。少女たちの結婚への純粋な憧れと、静かに揺れ動く友情以上の親愛を繊細に描いたショートストーリーです。
ai_keywords: サアラズ ア・ラ・モード, サアラ, リセ, 模擬挙式, ウェディングドレス, 友情, 百合, 日常, C94, 結婚観

[結婚と結婚式（C94配布ペーパー）](/appendices/lycee-sahra-wedding/paper.pdf)

-----

「模擬挙式だって。今度みんなで行ってみない？」

マヤが放課後に持ってきた週末の予定は、いつものとはかなり方向性が違っていた。差し出されたパンフレットには、ウェディングチャペルの写真と共に「二人の夢、永遠に」とおしゃれなフォントが踊っている。

「マヤちゃん。そういうのって、カップル向けのイベントなんじゃないかな……？」

アリサが心配そうに訊ねた。自信満々のマヤが言うには、小中学生向けの模擬結婚式が流行っているらしい。

読んでみると、確かに子供向けのプログラムも用意されていると書いてあった。挙式と一緒に披露宴のメニューまでこなせるようになっているようだ。

「私、親戚のお姉さんの結婚式に行ったことがあるんだけどね。こういうのって、ちょっと照れちゃうかも」

「もしかして、マリ姉の話？　豪華なドレスだったよね」

「うん。私も将来あんな綺麗なドレスを着てみたいな、って思っちゃった」

「あ、それ分かる。やっぱり見てると憧れちゃうよね」

サアラとアリサは、結婚式――で着るドレス――への憧れが強いみたい。どちらも女の子らしい女の子という感じだし、別に不思議なことではないけれど。

「そうなの？　私、あんまり考えたことなかったかも」

「まぁ、柚葉はロックが恋人って感じだもんね」

そう返すと、柚葉はちょっと照れた顔。学校では大和撫子で通っている彼女も、実は隠れて激しい音楽と付き合っている。

格式の高いお家で大事に育てられてきた柚葉は、いつか盛大な結婚式と向き合うことになるのかな。

「最近の結婚式は、いろいろ自由に演出できるみたいだよ。多様性？の時代なんだって」

「そっか、自由に……じゃあ、ライブハウスみたいな場所でやってもいいのかな？」

「「うーん、それはないかな」」

「……ふふっ」

「あはははっ！」

突然の会話の流れに、私とマヤが思わず笑ってしまう。サアラと一緒にアリサまでツッコミに回ったのがおかしくって、五人でしばらく笑い転げていた。

-----

私がサアラに惹かれているのは、サアラが可愛いからではなかった……と思う。少なくとも、初めの頃は。

「ねぇ、リセ。模擬挙式、どうしよっか？」

「サアラは行きたい？」

「うーん……リセが行きたいなら、私も行くつもり」

背中合わせで会話する。わざわざ二人になってからこんなことを言い出すのは、ただ、彼女があんまり乗り気じゃないからだ。

「あんまり行きたくない？」

「そういうわけじゃ、ないんだけど」

歯切れが悪かった。サアラの中で思考を整理する時間が流れて、ややあって、彼女がまた口を開く。

「私、綺麗なドレスを着て結婚式するのが夢だったの。でも、結婚したらリセと離れちゃうって思ったら、それはちょっと嫌だなって」

頭がぐらりとしたのは、難しい本から来る眠気のせいではなかった。サアラの隣に立つ私ではない誰かのことを考えるのは不愉快で、彼女と私が結婚しないのが *当たり前だとしても* 、それは不条理な現実に思えた。

「そんなの気にしなくていいじゃない。結婚式なんて、綺麗なドレスを着るだけのパーティなんだから」

「そっか。やっぱり、リセはクールだね」

「サアラがロマンチストなだけじゃない？」

「ん、そうかも」

私が可愛いものに憧れるのは、可愛らしさが私に似合わないからなのかもしれない。でも、そうだとしたら。そうだとしたら、サアラが綺麗なドレスを着ているのを想像すると、胸が締め付けられるのはなぜだろう。

可愛いサアラは何も知らない。私のことも、マヤのことも。私は、何も知らないサアラに近づきたいだけなのかもしれない。

「じゃあ、やっぱり行こうかな」

サアラはそう答えて、何事もなかったかのように読書に戻った。そして、また静かな時間が流れていく。

-----

[AZONE INTERNATIONAL::SAHRA'S a la mode](https://www.azone-int.co.jp/?sid=shr000)
