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icon of Amane Katagiri AIで作品の周縁を埋めることについて

先日公開したあまねけ!AI 2025では、2025年末時点でのあまねけ!におけるAIの活用方法について記録を残しました。この中では、可能性を収束させるという意味での本来の執筆は人間が行うものとし、要約および分析という新たな可能性を要求しない作業をAIに任せていく旨を記載しています。

今回はその補足として、具体的にどのような範囲でAIを使って作品の周縁を埋めていくかという観点で記述を残します。利用例はいずれも、2025年に公開した作品について、Google GeminiからGemini 3 Flash相当のモデルで出力したものです。

要約: 作品説明・キャッチコピー

前回の記事で「完成した本文からなめらかな粒度でサマリーを取り出すのもAIが得意とする分野です」と書きました。なめらかな粒度というのは、単純には文字数を調整できるという意味ですが、どこまでサマリーに盛り込むかを調整できるという意味でもあります。

pixivや小説家になろうといった作品投稿プラットフォームでは、「キャプション」や「あらすじ」という名前で、作品の短い説明を表示することができます。あらすじという名前ではありますが、この説明には結末までを洗いざらい掲載することはまずありません。この作品がどのような魅力があり、こんな人に楽しんでもらえるはず……という情報を部分的に示すのがセオリーです。

このような制約を盛り込んでAIに指示すると、適切な作品説明を出力できます。以下の例は、月から降ったクリスマスの本文を渡して、文字数を指定して要約を出力したものです。山場や結末までは明かさず世界観や登場人物、大まかな展開を盛り込むよう指示することで、適切な作品説明やキャッチコピーを出力できます。

「脳力」が投資対象となった近未来。最大手企業イーコムの学園に通うメイは、月面からの通信デモの実験体に選ばれる。離れ離れになる幼馴染のエリ。二人の他愛ないおしゃべりこそが、科学を凌駕する強力な脳波を生む唯一の鍵だった。大人たちの思惑と「冬の時代」の再来に翻弄される少女たちは、聖なる夜にある「計画」を胸に秘める。世界を巻き込む、史上最高に個人的で純粋な、二人だけの反逆が幕を開ける。
この作品の結末や山場を除いた投稿サイト用の作品説明を200字で出力して

以下はキャッチコピー案の出力例です。

  • 月へ行く君と、地上で待つ私。物理的な距離さえ、私たちの「脳」は飛び越える。
  • 「私、かぐや姫になれるんだってさ」――笑えない冗談を、最高の伝説に変えるまで。
  • 世界を繋ぐ最新技術より、君と話す「犬の好み」の方が、よっぽど価値がある。
  • アルミホイルを頭に巻いてお待ちください。間もなく、少女の初恋が世界を飲み込みます。
  • 脳波通信の先駆者が交わした最初の言葉は、愛の告白でも平和の祈りでもなかった。

この作品の結末や山場を除いた投稿サイト用のキャッチコピー案をいくつか出力して

自分が重視していること、特に入れたい要素があれば明記するとよいでしょう。盛り込みたい要素が完全に決まっているなら、本文ではなく情報の箇条書きを与えて清書してもらうだけでもいいかもしれません。やはり最終的には、かける時間や手間と予測可能なクオリティのトレードオフになります。

また、キャッチコピー程度ならよいのですが、短いタイトル案やあらすじを含む長めのタイトル案では精度が出ない印象です。作品の要素をフラットに盛り込もうとするAIの公平さが悪い影響を与えている気がします。

要約: 演習問題

前回挙げていなかったAIの使い方として、作品の理解を深めるための演習問題を考えてもらうケースがあります。これはもともと、「PARK Harajuku: Crisis Team!」という作品に掲載された演習問題のオマージュしたものです。オリジナルでは「DISCUSSION TOPICS」として、登場人物の心理や世界観を元に想像力を膨らませる問いを、そして「EXERCISES」として、作品の内容を元に現実で実行する課題がいくつか出されます。

これまで、あまねけ!では廃墟、曖昧、私とあなたイってないよね?でこのコーナーを掲載しています。「EXERCISES」はオリジナルの時点でネタっぽいというか、必ずしも作品の理解を深めるものではありません1。一方で「DISCUSSION TOPICS」は、作品やキャラクターの考察を深めるテーマになりうる内容を多く含んでいます。

ただし、ここでいう 考察 とは、作品内の曖昧な要素や伏線をかき集めて繋ぎあわせるパズルや謎解きクイズ ではない ことに注意してください。

以下の例は、PARK New Year's Eveについての「DISCUSSION TOPICS」および「EXERCISES」を出力した試行です。

以下の作品について、作中の登場人物の行動や選択の意味や理由について理解を深めたり、自分が作中の世界に置かれた時にどのような行動や選択を取るかを考えるための議論のテーマを「DISCUSSION TOPICS」としていくつか候補を出力して。いずれも作品の具体的な要素を前提にした質問の形にすること。
さらに、作中のアイテムや世界観のルールなどへの理解を深めるために、実際に現実で実行できる演習問題を「EXERCISES」としていくつか候補を出力して。いずれも具体的な行動を提案する形にすること。
いずれのセクションも、フラットな箇条書きのみで出力して複雑な見出しを含めないこと。

以下、AIによる出力結果です。

DISCUSSION TOPICS

  • ことこは「一度始めるとキリのいいところまで進めたくなる」性格として描かれていますが、あなたが大晦日のような特別な日に、本来の予定を超えて仕事や作業に没頭してしまうとしたら、それはどのような心理や目的がある時だと考えられますか。
  • りとは叔父のタバコ屋を手伝うという「嘘(あるいは建前)」をまりにだけ伝えていました。まりはこの嘘を見抜いていますが、りとはなぜことこには素直に行き先を話し、まりには別の説明をしたのだと思いますか。二人の関係性の違いに着目して考えてみてください。
  • まりはフランス旅行を諦めて仕事をしていましたが、一方で自由に振る舞うりとに対して複雑な感情を抱いています。もしあなたがまりの立場なら、自分だけが真面目に働いている状況で、自由奔放な友人とどのように距離を置いたり、あるいは感情を整理したりしますか。
  • ことこは初日の出を見に行くという提案に対し「一年で一番早い太陽光発電」という科学的な関心を結びつけています。自分の趣味や専門知識を、日常のイベントや遊びに強引に結びつけて楽しむことについて、あなたならどのような分野でそれを実行しますか。
  • 物語3では、りととまりの間に独特の緊張感や親密さが描かれています。まりが最後に見せた「誘い方、もっとちゃんとしなさいよ」という言葉には、彼女のどのような本音や期待が込められていると解釈しますか。
  • もしあなたがPARKのメンバーの一人だとしたら、大晦日の営業終了後、誰の誘いに乗ってどこへ行きたいと考えますか。「ことことの千葉ドライブ」「まりとの麻辣湯」「りととの深夜のスクーター」の選択肢から、その理由と共に選んでみてください。

EXERCISES

  • 今年の干支(例:2026年は午/馬)をベースにしつつ、りとのように「自分が一番可愛いと思う動物」に要素を置き換えた、年始のグリーティングカードやポスターのラフデザインを紙やタブレットで作成してみる。
  • ことこのブログ「ことことサイエンス」に倣い、身近な食べ物(例:ラーメンの麺のコシ、お菓子の焦げ目の匂い、炭酸飲料の泡など)がなぜそのような状態になるのか、化学的な原理を一つ調べて140文字以内で解説文を書いてみる。
  • りとのように冬の夜にスクーターや自転車で遠出することを想定し、手持ちの衣類の中から「最も防寒性能が高い組み合わせ」をコーディネートしてみる。その際、インナーの種類や小物の活用など、機能性に特化して選定すること。
  • りとの叔父のタバコ屋のような「何が本業か分からない、独特の雰囲気を持つ個人商店」を街中で探し、その店の看板や店先に並んでいるアイテムから、店主がどのような人物で、どのようなルートで商品を仕入れているのかを自由に想像してメモに書き出す。
  • ことこのように「日本で一番早い〇〇」というコンセプトで、自分なりの体験プランを立ててみる(例:日本で一番早く開店する店に行く、日本で一番標高の高い場所で特定の行動をするなど)。実現可能性は問わず、その体験が自分にとってどのような価値を持つかを言語化してみる。
  • 寒い中での作業や移動の後に食べたくなる「自分にとっての『にんたまラーメン』や『麻辣湯』」に相当する、究極の冬の背徳メシを3つリストアップし、それぞれの「最も美味しく感じるシチュエーション」を定義する。

演習問題をAIに出力させる理由の一つとして、この課題に取り組むのは人間自身だという点が挙げられます。もちろん、このままAIに続きを尋ねれば想定回答も得られるでしょうが、きっとあなたの考察とは異なります。そういうAIの 誤った 考察を訂正する形でも作品への理解は深まりうるでしょうし、これは引き続き人間自身が取り組む意味がある課題です。

創作における実用的な面では、自分が書いた作品の演習問題を出力させることで、ストーリーの構成や盛り込んだ表現について一歩引いた目線でチェックできます。AIがある種の要約としてまとめた演習問題は、(作者の脳内にしかない要素を含めず)作品の本文のみから読み取れるテーマや、考察に値する部分を引き出したものだと考えられるからです。

分析: 評価

AIを分析に使う方法の一つとして、書き上げた初稿の評価を依頼するケースがあります。これはあらすじやサムネイルで作品を外向きに飾る方法というより、作品の構成や表現を改善するツールとしての使い方です。誰かに依頼するよりも簡単かつ高速で、しかも何度でも 初めて 作品を読んだ評価を引き出せます。誰かの頭を殴らずに作品を読んだ記憶を忘れてくれるというのは、AIだけの利点です。

評価の内容は長くなりがちなので、出力例は一部のみ掲載します。使ったのはオウムは魔法で殺された!です。

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2. 表現の不自然さ・説明過多な部分
クーの自虐的なモノローグの繰り返し

「物覚えが悪い」「頭が悪い」「ちんちくりん」という表現が何度も登場します。

  • 課題: クーの卑屈さが強調されすぎて、読者がキャラクターに共感する前に「卑屈な語り」そのものに疲れてしまう可能性があります。
  • 改善案: 「自分はダメな子だ」と言葉で説明するのではなく、「何度も同じ場所でつまずく」「三つしかない荷物の名前を忘れないように呟き続ける」といった行動で、彼女の不器用さを描写(Show, don't tell)してみてください。

アイさんのセリフの「説明っぽさ」

「私のシゴトは、こうして白い身体を晒して歩くことそのものなんだ」というセリフは、設定を説明するために言わされている印象を受けます。

  • 課題: キャラクター同士の会話としては少し不自然です。
  • 改善案: 「私は、ただここにいて、あなたに見られるのがシゴトなの」など、もう少し情緒的、あるいは謎めいた言い回しにすることで、アイさんの上位存在としての不気味さと美しさが際立ちます。

3. 退屈に感じられやすいポイント
荷物仕分けの描写の単調さ

「赤い花、銀のレンガ、白い糸」の仕分け作業の描写が少し長いです。

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この作品について批判的に読んで、構成上読みにくいところ、分かりにくいところ、退屈なところ、表現が不自然なところなど、作品を改善できるあらゆる要素を教えて

この作品がMinecraftのゴーレムをモチーフにしているという背景もあり、正直あまり的を射ていないコメントも多いです。あくまで人間が自分の作品を改善するための取り組みであり、AIはそのサポートに過ぎないことを念頭に置いた上で、必要な指摘を選んで取り入れていくといいでしょう。

分析: 作品解説

いわゆる作品解説は、AIの出力を存分に活用できる分野の一つです。渡された作品の本文の中で推論し、 自分の考え を交えて出力します。これを要約の一種と捉えることもできますが、単なるあらすじと異なり独自の分析や解釈を含むので分析として取り扱いました。

作品解説の例は、あまねけ!2025に「色がきれいなよもぎもち」として掲載した解説を直近で掲載したので、興味があればそちらを読んでみてください。大げさで曖昧なのにそれっぽい書きっぷりを許されたAIが、その真価を発揮しています。

このように、作品説明やキャッチコピー、サムネイルで入り口を飾り付け、演習問題や作品解説で出口を充実させれば、作品と世界の溝を効率よく埋めることができます。こんなに広い範囲でAIを活用したのに、体験のコアとなる作品の執筆は、まだあなたに任されたままです。


  1. 主人公3人がショップの経営で生計を立てているという設定を前提に、「オリジナルグッズを売るショップを開いてみましょう」という課題が出たりしています。 

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