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Nodenariumと個人サイトの宇宙

LTUバランスのことという記事でNodenariumについて触れてから、もう半年以上が経ちました。記事を書いた当初は2つか3つくらいの個人サイトしか紹介されていませんでしたが、11/1時点では6つのサイトが名を連ねていました。しばらく気付かなかったのですが、記事を公開して1週間ほど――3月末くらいには既に追加されていたみたいです。

Nodenariumというのは、公式の説明によれば「現代に誕生した個人サイトのリンク集」のようです。サイト名でもある「交点」と「植物園」の合成語の「Nodenarium」という言葉の響きからは、独立性と個性を備えたまさに「デジタル・ガーデン」と呼ぶべきウェブサイトの息吹を感じることができます。個人サイトというのは、「わたし」が抱えきれるだけの温室の中で、「わたし」が好きな植物を育て続けるという時間的・空間的な広がりそのものをいうのでしょう。

Nodenariumに掲載されている個人サイトには、配信に用いている技術が併記されていることがあります。あります、というか、あまねけ!以外のサイトにはSvelteAstroといった楽しくてワクワクするフレームワークがたくさん並んでいますね。HugoとかZolaといった静的サイトジェネレータを使ったサイトもあります。

あまねけ!は必須機能をHTMLとCSSのみで実現する静的サイトであって、HugoやZolaなどに構成は近いですが、中身はPelicanを魔改造した私専用のがらくたみたいなものを使っているので、技術的にアピールできるところはありません。しかし、複数のホスティングサービスやZIPアーカイブ、Go製のウェブサーババイナリやDockerイメージなど、Fastlyが落ちてしまうどころか、仮にインターネットがすっかり破壊されても対応できる閲覧手段を揃えているところは少ないでしょう。次の即売会でインストールディスクを手渡ししますか? もしよければ、Bluetoothで転送してもいいですか?

さて、あまねけ!ではごくシンプルな解析ツールのShynetを利用していて、不定期に表示回数の多いページやアクセス元について眺めたりしています。新しく記事を書くと1週間くらいはアクセスが伸びますし、その他にもある程度の傾向があります。例えば、どこでもない郵便番号は存在しますか?は、短くて目新しい情報も少ないのですが、今でも毎日継続的にアクセスのある記事ですね。時間帯や季節によっても違います。

アクセス元もいろいろです。X(旧Twitter)やActivityPub系インスタンスなどのFediverse、Google検索やYahoo!検索からも意外と流入があります。みなさんがお使いの一般的なブラウザにはリファラ(Referer)という仕組みがあって、現代ではReferrer-Policy(rの数が違う!)で制限された範囲で、アクセス前に滞在していたサイトの情報を受け取ることができます。昔はオリジンどころかパスやクエリまで移動先のサイトにたくさん漏れていたようですが、プライバシーやセキュリティの観点から、もはや明示しない限りオリジンしか送られないようになりました。あまねけ!では外部サイトへの移動時にリファラを全く付与しない設定1にしています。

Nodenariumからのあまねけ!への流入数

このグラフは、2024年9月1日以降のNodenariumを経由したあまねけ!へのアクセス数を示したものです。9月1日以前はほぼアクセスがなかったのですが、10月5日を境に継続的に流入するようになりました。どうも、Nodenariumに掲載されているみそは入ってませんけどバカみたいに賢いという記事が同日に公開されていて、それを経由したアクセスが多いようです。まさに、「デジタル・ガーデン」の「交点」という目的を果たしています。そんな場に名前を連ねているというのは、とても嬉しいですね。

一夜にしてnodenarium.net にありえない数のアクセスがあったので「邪悪なボットか!?」と思って確認したら「みそは入ってませんけど」で言及していただいたおかげでした(ありがとうございます)
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最近、個人サイトがどのように連帯できるか、ということについて少し考えています。

個人サイトが連帯する手法としては、それぞれの個人サイトに相互にリンクを掲載する「相互リンク」がよく用いられてきました。ウェブサイトを識別する長方形の小さな画像であるバナーの配布が流行っていたのも、ちょうどこの時期です。私も、中学生の頃に作ったサイトにGIFアニメーションの簡単なバナーを載せていた覚えがあります。あまねけ!ではバナーを作ったことがありませんが、今度みんなで作ってみてもいいですね。

一方で、Nodenariumのような独立したリンク集は、どちらかといえばより広く、また平等にサイトを収録するディレクトリ型検索サービスやランキングサイトのような形で実現されることが多かったはずです(ちょうど、Yahoo!カテゴリウェブコミックランキングのような)。これらのサービスの多くが終了あるいは縮小し、同様の役割がSNSに取って代わられた今、こうして個人的なリンク集を作るのは新たな意味を持ちえます。世界から失われていったウェブの瓦礫に分け入って、新たな(バナー)を立てる取り組みなのかもしれません。

こうしたSNSに頼らない連帯のあり方として、これからはフィードが鍵になるのではないかと思っています。小さなリンク集は更新を取得するために読者が(あるいはスクレイピングツールが)定期的に巡回を行う必要がありますが、フィードリーダーなら効率的な巡回と更新通知を実現できるというのは、これまでもお伝えしてきたとおりです。この特徴を上手く取り入れて個人サイトを作り上げていくことで、SNSの拡散力にも対抗しうるのではないかと考えています。

実は、フィードリーダーのひとつであるInoreaderでは自分が購読しているフィードの一覧をOPMLで公開したり、各フィードの更新情報を1つにまとめてRSSやウェブページとして公開する機能があります。これは、自分がどのようなウェブサイトをフォローしていて、どんな記事に興味があるかを提示するという面で、SNS的な働きを持っていると言えるでしょう。例えば、リンク集に掲載したウェブサイトを1つのフィードに束ねて設置すれば、フィードリーダーにも対応したリンク集を実現できそうです2。リンク集自身の更新情報も含めるとより使いやすいかもしれません。

個人サイトにできることはまだあるでしょうか。私はまだ、綺麗なフィードを打ち上げて電波が届くのを待っています。


  1. Referrer-Policy: same-origin 

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